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研究情報

研究情報についてご紹介いたします。

脳腫瘍分野

Multimodality術中支援システムの構築

脳腫瘍に対する手術では、術中ナビゲーション、運動誘発電位、蛍光診断などの支援システムを駆使し、機能温存を重視した最大限の摘出術を目指しています。言語野近傍の腫瘍に関しては、積極的に覚醒下手術を行い、その言語機能の温存に努めています。

新規治療薬の導入

悪性脳腫瘍に関しては術後にテモゾロミドを中心とした化学療法や放射線治療による後療法を行い、ごく最近悪性脳腫瘍治療に認可されたギリアデル脳内留置剤や抗血管新生分子標的薬であるアバスチンも積極的に使用しています。

遺伝子解析(LOH解析)に基づく治療戦略の確立

悪性神経膠腫症例に対しては、全例に遺伝子解析を行い、組織診断と遺伝子解析結果をもとに、その後の後療法を決定しています。これまでの研究で1、10、19番染色体の異常(loss of heterozygosity: LOH)がその予後に関連することが明らかになっており、特に1番染色体短腕(1p)と19番染色対長腕(19q)共欠失症例は、治療反応性が高く、逆に10番染色体の異常は神経膠芽腫(WHO grade4)に特徴的な異常で、この異常を伴う悪性神経膠腫は予後不良であることが明らかとなっています。
 当科では退形成性星細胞腫(grade3)に対しては、従来のIAR療法、1p/19q共欠失を伴う退形成性乏突起膠腫(grade3)に対しては、procarbazine, ACNU, vincristineを併用したPAV療法を放射線療法に先行して行っています。組織学的にはgrade3であっても、10番染色体の異常(ch10 LOH)を伴う症例に対しては神経膠芽腫(WHO grade4)に準じて、テモゾロミドと放射線療法を併用した初期治療を行っています。

悪性神経膠腫におけるmicroRNA発現解析

non-coding RNAの一つであるmicroRNAに着目して研究を行っています。microRNAは20から25塩基の短いRNAでありタンパクには翻訳されないもののさまざま遺伝子の発現を調節する機能を有しており、悪性神経膠腫の病態形成にも関与していると考えられています。悪性神経膠腫において網羅的なmicroRNAの発現解析を行い、悪性神経膠腫に特徴的なmicroRNAをいくつか同定することができました。その中でも特にmicroRNA-196が悪性神経膠腫の病態形成に重要な役割を果たしていることを見出し報告しました。またTCGA(The Cancer Genome Atlas)によって遺伝子発現のパターンによって悪性神経膠腫がProneural, Mesenchymalなどの4つのタイプに分類することが報告されていますが、当科ではこれらのサブタイピングをqPCR法を用いて簡便に解析する方法を確立し、microRNA-128aや-504がMesenchymalタイプを規定するmicroRNAであることを明らかにしました。これらの結果はmicroRNAが新たなバイオマーカーになりえる可能性を示唆するものであり、バイオマーカーとしてのmicroRNAの意義を検証するための研究を現在遂行中です。

間葉系幹細胞を用いた神経膠芽腫浸潤の抑制療法の開発

悪性神経膠腫のうち、最も悪性度の高い腫瘍の一つである神経膠芽腫(Glioblastoma multiforme:GBM)が治療に抵抗性である主な原因は、周囲の組織へとしみこむ(浸潤する)能力が高いことと、浸潤した腫瘍細胞へ治療薬を届ける方法(アクセスルート)が限られていることです。浸潤したGBMに対するアクセスルートの確保の方法として、Texas大学MD. Anderson Cancer Centerとの共同研究により、間葉系細胞(mesenchymal stem cell; MSC)を用いた治療方法の検討・開発を行っています。

これまでの当研究室の結果として、1) MSCは、GBM細胞に対して指向性をもっており、全身投与されたMSCは脳内へと浸潤したGBM細胞をも感知してあつまること、それを利用し、2) 抗腫瘍効果を持つβ-IFNを持続的に産生するように遺伝子を改変したMSCは、全身投与によりGBMモデルマウスの生存期間を著しく延長させ、MSCが治療薬の運搬役として利用可能であること、を証明しています。(Nakamizo et al. Cancer Res 2005)

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